今回は、iOSで利用可能な音ゲーをいくつかレビューしようと思います。私は音ゲーマーかつヘビーなiPadユーザーなので、情報を日々集めるようにしているのですが、もうカードが出尽くしてきた感じがあるので、ここで一度新規ユーザーにおすすめできるゲームはどれなのか、整理していきます。
一応、iOSでコンシューマー的に展開しているもののみを比較するために、取り上げるゲームの基準は以下の通りです。このように決定するとかなり絞られてしまいましたが……
- 曲自体を選んでプレイするもの(ステージ自体が主体ではなく、曲がメインなもの)
- 収録曲が偏りすぎていないもの(同じキャラクターに関係するものばかり、などでないものという意味)
- アーケード版が存在しないもの(それをiOSで語るのは邪道かと思ったので)
- 成長要素がないもの(所持アイテムによってスコアが上がったりしない)
目次
Cytus
誰でも幅広く楽しめる、iOS音ゲーの決定版
メーカー | Rayark Inc. |
レーティング | 4+ |
価格 | 240円 |
追加課金 | 600円 / 10曲程度 |
iOSかAndroidを持っている音ゲーマーならば、まずほとんどインストールしているだろうというこのCytus。特筆すべきはそのコンセプトで、音ゲーを遊ぶのにユーザーは対価を支払いすぎているというような趣旨のもと、「ダウンロード数が増えるごとに曲を無料開放」という素晴らしい仕様となっています。それが奏功し、順調に曲が増えていきましたので、なんと初期投資の240円で100曲以上遊べるという、とてつもないコストパフォーマンスを誇ります。
日本、台湾、韓国、など幅広い地域から多数のアーティストを起用。特に日本からは元BMS作家が多く参戦しており、2000年台初頭くらいからの音ゲーが好きであればまず好きになれる楽曲群があります(というか、そういう人はもう持ってるだろうし、誰に向けておすすめしてるんだこれ……)。
しかし、カスタマイズ性がほとんどないのが難点です。ビジュアル面はノーツの表示方法が変更できるだけで、クリック音もON/OFFを選べるだけで1種類。また、オフセット(タイミング)の調節は、iOSデバイスであれば遅延に差がないと考えられているからか存在しません。実際は個人の好みで調節できるべきなので、この辺りだけは少し残念……ですが、クオリティ的に気になるものではないので、さほどマイナスではないと思います。
総合評価
iOS(またはAndroid)を手に入れたらまず入れろ、と言いたいゲームの1つ。
メリット
- 曲数がとにかく多く、コストパフォーマンスが最高
- 難易度が豊富
デメリット
- ビジュアル面とサウンドにカスタマイズ性がほとんどない
- オフセット調整のオプションがない
Deemo
キー音によりピアノを弾く体験ができ、要素の統一感がはっきりした音ゲー
メーカー | Rayark Inc. |
レーティング | 4+ |
価格 | 240円 |
追加課金 | 480円 / 6曲程度 |
Cytusと同じ会社の作で、こちらが後にリリースされたゲーム。特筆すべきはゲーム内の空気感で、プレイ画面やアートワーク、そしてサウンドが一体となり、ストーリーにふさわしい、どこか物悲しい雰囲気を演出しているところ。
また、iOSゲームには少ないキー音つき(ただしピアノのみ)のゲームです。つまり、押すと単なる効果音が鳴るのではなく、曲に合ったピアノの音が出るということ。
ノーツは2種類しかなく、それも「タップで取る」か「タップしてからスライドでも取れる」かなので、要は押すだけです。また同時押しも(全て確認していないのですが、少なくとも追加曲以外は)2つまでしかありません。つまり、良くも悪くも単純というところ。慣れた音ゲーマーであれば、歯ごたえがあるのは最高のレベル10のみではないかと思いますが、初めての人には特におすすめできます。
そして、曲を手に入れる方法の1つとして、不思議な空間をタッチで探索できるというものがあります。3場面しかなくあまり広さはありませんが、ストーリーを暗示するアイテムが散りばめていたりもしますので、これもやはり雰囲気づくりに一役買っているという感じ。
ただし、判定が若干ずれている曲もあるような気がします。こういうときは私は適当に合わせられるはずなのですが、前述のようにキー音があるため、そのズレが気になって集中できないことがあります。もう少し厳密に合わせてほしいところです。
総合評価
ゲーム内容が単純で、音ゲーとしては珍しくピアノのみの曲も多いし、プレイに対する明確な評価もほとんどないため、とっつきやすいです。今まで音ゲーに触れて来なかった人に特にお勧めしたいゲームであります。
メリット
- 難易度が豊富
- キー音つき
- 雰囲気がよい
デメリット
- 曲によってズレがある場合も
- オフセット調整のオプションがない
Tone Sphere
幾何学的オブジェクトの空間を漂う美しいビジュアルの音ゲー
メーカー | Bit192 Labs |
レーティング | 4+ |
価格 | 240円 |
追加課金 | なし |
Tone Sphereは、画面上に現れたノーツを順番にタッチしていくゲーム。特に面白いのが、背景が3D空間となっており、曲のスピード感を活かした演出が繰り広げられる点。私のデザインの経験から言うと、白をベースにすると引き締まらずに難しいと思っているのですが、それでもかなりまとまって表現されています。
曲は前述のCytusのが好きならば、好きだと言えます(というか、企画自体がCytusにも曲を提供しているSta氏だし)。あとはアニソン調のものもありました。
カスタマイズもとても自由です。ヒット音、ノーツの表示速度、背景の明るさ、コンボ数の表示、特殊な効果などがあり、難易度や好みに合わせてプレイすることができるようになっています。
総合評価
よくよく考えてみても、不都合な点がない洗練されたゲームだと感じました。前の2つのゲームより曲数が若干少ないのですが、無償で曲が少しずつ増えていくようなので、気長に待ちたいところです。
メリット
- 難易度が豊富
- カスタマイズが豊富
- グラフィックがよい
デメリット
- 欲を言えばもう少し曲がほしい
グルーヴキャッチ
アーティストを応援し、リスナーとの懸け橋として作られた音ゲー
メーカー | WG Publishing Inc. |
レーティング | 4+ |
価格 | 360円 |
追加課金 | 120円 / 1曲程度 |
これは私の意見なのですが、音ゲーの業界には大きな問題があるように思います。収録される曲についてです。知名度の高い曲やそのメーカー専属のサウンドクリエイターの曲ばかりが好んで収録され、知名度がなくても素晴らしい曲はたくさんあるはずなのにもかかわらず、見向きもされないという現実があるのです。
そういう曲は使用料が安かったりするはずだし、メーカーとしても使用するメリットはあるはずなのですが、なぜ採用されにくいのか。タイトルの正統性を曲によって落としたくない問題もあるかもしれません。しかし、曲を発見する意味でもプレイしている私のようなユーザーにとっては、それはむしろ障害になっています。
そこに、この「グルーヴキャッチ」は疑問を投げかけています(大げさだったら申し訳ないです)。採用されたアーティストはあまり知名度がない人たちですが、もちろん知名度なんか内容には関係ないでしょう。どの曲も新鮮に楽しめるはずです。
また、アーティストのtwitterやfacebookを見れば解放される曲もあります。これもあまりユーザーにストレスを与えない形でアーティストの紹介に一役買っていると思いますし、よい方法だと思います。
ゲームモードは主には2つ(タイプで分ければ4つ)あります。キーボードで打つタイプと、降ってくるイチゴなどをキャッチするタイプ。しかもキー音がついており、うまく演奏することで曲本来のメロディが出現しますので、まさにグルーヴ感があるという感じ。
しかし、ゲーム自体としてはもう少し洗練すべきだったかと思います。UIはあまり統一感がなく、またゲームオーバーのときの画面遷移が瞬時だったり、(コンセプトによるものだとは思いますが)アーティスト別に分けることで選曲がしにくいなど。今後は色調を統一するなどして改善されたらうれしいです。
総合評価
もう少しデザインの統一感を高め、また規模を大きくできるならば今後期待できそうなシステムです。応援したさがNo.1。
メリット
- キー音つき
- アーティストとつながりやすい
デメリット
- 統一感がない
Rhythm Control 2
シンプルなシステムに反してハマる音ゲー
メーカー | Daikonsoft |
レーティング | 4+ |
価格 | 0円 |
追加課金 | 240円 / 3曲 |
Rhythm Control 2 は、6つの位置に近づいてくるノーツをタップするかホールドしていくゲームです。前作からUIが刷新され、今風になっているほか、曲も増加して遊びやすくなっています。なんといっても、基本的には無料で遊べるところがいいですね。スタミナなどによる時間制限もありません。
シンプルさがあり、誰でもクセがなく受け入れられるといった感じ。タップかホールドしかないため、これもまた上級者には簡単かとは思ったのですが、意外にも難易度が上昇すると複雑な取り方のものも出てくるため、幅広く楽しめるでしょう。
ただ、いわゆるウラのリズムだとノーツが違う色になるため、私としては混乱してしまいます(前のTone Sphereでもデフォルトではそうなのですが、そちらは全部同じ色に変更できるため問題なし)。あと、ホールドはノーツが大量につながったように表示されるのですが、これも混乱の元っぽいです。個人的にそんな感じなだけかもしれないので、申し訳ないのですが。
プレイ後に毎回全画面の広告が表示されるとはいえ基本無料(何か曲を購入すれば広告が除去される)ですし、一度プレイしてみることをおすすめします。
総合評価
やはり、基本無料で遊べるのはかなり大きいと思います。少しでも気になれば一度プレイすることをおすすめします。
メリット
- 基本無料
- デザインが改善されている
- シンプルだが奥が深い
デメリット
- 毎回広告が表示される
- カスタマイズが少ない
osu!stream
直感的に遊べる美しい音ゲー
メーカー | ppy |
レーティング | 4+ |
価格 | 0円 |
追加課金 | 120円または240円 / 4曲程度 |
osu!stream は、画面上に表示されるサークルをタイミングよくタッチしたりスライドしたりするゲームです。
グラフィックが綺麗ですね。判定はこの記事中のゲームでは最も厳しく、Expertモードだとなかなか300点で取れません。そちらは腕に覚えのある人に挑戦していただきたいと思いますが、カジュアルなEasyモードはゲームオーバーなしで判定がゆるいので、初心者でも気楽にプレイできる余地があります。
PC版では出来なかった同時押しが追加されたりして、譜面のバリエーションが増えたのではないのかと思うのですが、残念なのは、有料であってもなかなか楽曲が増えないところ。BMS曲を使用することがやはり多いようなので、Cytusのようなモデルで行っていけばボリュームのある面白いゲームになる気がするのですが……
複雑な曲線をなぞらなければいけないこともあり、iPhoneでは厳しい大きさになるのも難点です。
総合評価
運営のやり方次第では遊び応えのあるものになるかと思います。iPhone向けには難しいシステムだとは思いますが、iPadユーザーにはおすすめできます。
メリット
- 難易度が豊富
- ビジュアルがきれい
デメリット
- iPhoneではプレイしにくい
- 曲が少ない
O2Jam U
基本無料で相当数遊べるスタイリッシュな音ゲー
メーカー | MOMO Corporation |
レーティング | 4+ |
価格 | 0円 |
追加課金 | 100p = 120円、100~200p / 1曲程度 |
O2Jam U は、2つ、4つ、または5つ(設定で選べる)のラインに沿って近づいてくるノーツをタップするかホールドしていくゲームです。
プレイ中にいくらかの駆け引きがあるのが面白いところ。左上のゲージがたまると一定時間コンボ数にボーナスの倍率が与えられるのですが、それを発動するタイミングは任意です。つまり、密度が多いところを選んでタイミングよく発動したほうがスコアが多くなります。また、ノーツはタップでもスライドでも取れるため、配置によってどう取るかを判断する必要もあります。アイテムを使用して有利に進めることもできます。
基本無料です。プレイにはポイント(通常は3)が必要で、一定量を下回っていると1ポイントたまるのに数分かかるのですが、それでも200曲以上の中から選べるので十分でしょう。というより逆に選びにくいかもしれません、おすすめはMemme、ESTi、M2U、あたりの方々。100~200円程度で、曲を1つ購入することもできます。購入すると遊ぶ回数が無制限になると思うので、気に入ったものがあれば検討してみてもよいでしょう。
微妙な点はというと、インターネット接続がないと遊べないところでしょうか。しかもサーバーから毎回曲の情報をロードしているようなので、選曲時にカクついたり画像が表示されなかったり、といった場合があります。若干ストレスにはなるかもしれません。
ただし、一応言っておくと、韓国製なので韓国語の曲が多いです。私は文化的交流と他のことは一切関係ないし、いいことだと思うのですが、念のため。
総合評価
200曲以上が遊べますし、スタミナ回復も早いので、無料でもかなりやり応えのあるゲームになっています。課金によって曲を購入するという選択肢があることもいいですね。
メリット
- 基本無料
- 曲が豊富
- 駆け引きが面白い
デメリット
- 通信が必要
BeatTube
遊べる曲数が無限大、YouTubeの動画で遊ぶ音ゲー
メーカー | Technon |
レーティング | 17+(YouTubeの動画を使用したのが原因か) |
価格 | 0円 |
追加課金 | 1週間スタミナ無限 = 360円 |
BeatTubeは、YouTubeに公開されている動画に譜面を組み合わせることによって、非常に多くの楽曲でプレイすることができるゲームです。
基本無料でスタミナ制です。課金をすれば1週間無制限に遊ぶことも可能です。
譜面はすべて、プレイヤーの誰かが作成したもので、人気譜面や新しい譜面から選んでプレイすることができます。このようなシステムだからこそ、例えばアニメの公式がYouTubeに上げている動画を使えば版権をスルーできる※ことや、かなりマイナーな曲でも遊ぶことができる、何より簡単に自分が遊びたい譜面が作れることなどのメリットがあります。
しかし、逆にデメリットもあり、特に譜面によっては全くリズムに合っておらず遊べないようなものもあります。これは、自分が好きな譜面作者を見つけてフォローしておき、その人の譜面のみを選ぶなどにより回避できますが。そしてもちろん、YouTubeの動画を再生して遊ぶものなので、インターネット接続が必須で、通信量も多くなってしまいます。
グラフィック面はあまり集中して作られていないようです。ノーツが単色の円なので、チープさを気にする人がいるかもしれません。また、UIはシステム系のもので画像等が使われていませんが、これはこれでサーバーからロードするデータが最小限となるのでいいと思います。
無課金では自分のレベル以下のレベルの譜面しか遊べない、というレベル制限があることが上級者には酷かもしれません。自分のレベルは10から始まるのですが、レベル10だと非常に簡単な譜面しかないので、レベル上げが作業になってしまい、つまらないという人もいるようです。
総合評価
譜面は作りたいユーザーにまかせる、という運営システムも一長一短ありますが、楽曲や譜面が多様化できることにより、音ゲーをより身近にすることにはプラスであると思います。
メリット
- 基本無料
- 曲数がほぼ無限
- 譜面が作成可能
デメリット
- 好きな譜面を見つけなければならない
- 通信が必要
- デザインがチープ
おわりに
8つのゲームをそれぞれ簡単に紹介しましたが、いかがでしょうか。それぞれに一長一短はあれど、音楽が好きなら必ず自分に合ったゲームが見つかるはずです。まずは無料のものだけでも触れてみて、体感してみてはいかがでしょうか。
ちなみにおすすめはCytus、Deemo、Tone Sphereです。これらはとにかくコストパフォーマンスが最高でビジュアルもよく、上手く完成されたゲームですので、じっくりやりたい方は是非ともどうぞ。