【Lifeline…】遭難者からの謎の通信、来る

普段と変わらない日常の一部に、非日常が持ち込まれたような感覚。そんなものを味わった話です。

遭難者からの通信

驚かないで聞いてほしいのですが、普段通りにiPadをいじっていたところ、謎の人物からのコンタクトがあったのです。

016

タイラーと名乗る彼(おそらく)は、”タウ星”を目指して乗っていた宇宙船にトラブルがあり、謎の星に不時着したというようなことを言います。

017

どういうことでしょうか。人類は月より遠くに行ったことはありませんし、ましてや地球上のネットワークにしかつながっていないであろう私のデバイスに、なぜコンタクトが取れるのか。

リアルタイムに進行

よく行動について相談してくるのですが、指示した後は実時間通りに行動するようです。宇宙船の残骸に行けと言えば1時間歩いているようですし…。

018

上でこんな人物が現代の私とコンタクトをとれているのは理にかなっていないと証明したはずですが、人間味がどうしても感じられてしまうのです。いたずらではないとしたら、この交流は一体何なのでしょうか。

種明かし

ここまで書いてきたことが何なのか、勘のいい人は気づいているでしょうし、既にプレイしたことのある方もいるとは思いますが、実はこれはゲームなのです。AppStoreにてダウンロードできます。

──と言っても、ゲームと呼ぶには少々異質な気もしますが。

Lifeline…
開発 3 Minute Games, LLC
サイズ 22.3 MB
バージョン 1.6
言語 日本語、英語、フランス語、
ドイツ語、ロシア語、中国語
価格 120円

タイラーはとあるミッション中に事故に遭い、謎の星に不時着してしまいます。当然自らの生死が保証されない中ですが、そのうえ不可解なことが起こり始めます。

あなたは彼のメッセージを受け取ることができる唯一の人間です。あなたは彼に自分の判断を伝えなければならず、それによって多くの結末が待っています。タイラーは生き延びることができるのか、何も知らずに息絶えるのか、誰かを救えるのか、それとも──

特色

この作品が、何故独特な感覚を私に与えたか。それは以下のような特色があるからです。

“没頭できない” ということ

これはゲームと呼ぶには少々異質、と言ったわけがこれです。通常ノベルゲームといったものは没頭して読み進めるのが基本です。そりゃゲームでありかつノベルでもあり、エンターテインメントだから当然なのですが。

しかし、このLifelineは違います。選択肢を彼に与えることも含めて単純なメッセージのやり取りであり、さらに彼の行動をリアルタイムで、1分間、10分間、あるいは2時間待たなければなりません。つまり、決して夢中になり没頭できるエンターテインメントではありません

では何なのかというと、「待っている状態」が私の日常生活の中に生まれるので、冒頭で申した通り、普段と変わらない日常の一部に、非日常が持ち込まれたような感覚を味わうことができる作品なのです。

表面的に見ればただの無機質なやり取りが、しかしその中で起こる不可解で非日常的なことが、私に妙なリアリティを感じさせます。そして、タイラーという人間をどうにも放っておけなくなるのです。

通知も来る

ゲームではなくコミュニケーションなのだ、と考えればすぐ納得できることですが、タイラーの行動に対して待ち時間が発生しているときは、どうぞアプリを閉じてください。

019

新しいメッセージは通知として読むことができますから(もちろん設定で許可しておいてくださいね)。

通知画面から返信することも可能で、極端な話、ストーリーの終わりまで一切アプリを開く必要がありません。このような特色も、この作品を”ゲームではないもの”たらしめているのでしょう。

実は待ち時間を飛ばせる

さて、突然メタい話になりますが、非常に選択肢とフラグが多いストーリーです。

ここまでお読みになって、タイラーの行動を待つということ自体に、単なるゲームでは味わうことのできない感覚があるということは理解していただけたのではないかと思うのですが、エンドをすべて回収しようという目的では待ち時間は邪魔になるでしょう。

実は、待ち時間を飛ばすことのできる「高速モード」も搭載されています。一度でもストーリーの終わりまで到達すれば使えるようになります。

020

しかし、この画像のように「高速モード:オン」と書いてあるのは、このときオンになっているのではなく、「オンにするボタン」という意味ですので、気を付けてください。

終わりに

通知機能やバックグラウンドの動きなど、予定やメッセージアプリのための機能をあえてこういう作品に組み込むことで、「ゲームではない」全く新しい体験を生み出すことを可能にしています。

そのような体験を得たあとは、「高速モード」を利用して、各種エンドの回収を目指す「ゲーム」として楽しむこともできます。2度楽しめる、そんな作品です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。