パズルゲームを遊んで論理回路を学べる「トライビットロジック」

身近なコンピュータは論理回路を何億個と組み合わせることによって動いています。……そんなふうに聞くと難しく思えますが、その基礎を学ぶことは割と簡単かもしれません。

論理回路をパズルゲームの題材に使ったiOSアプリ「トライビットロジック」を遊べば理解できるんです!

遊び方

基本的なルール

バグに悩まされているという「ビットロボ」を助けるというのがステージクリアの目的になります。「バグ」というのは元々は英語で小さい虫という意味で、だからこのゲームでもアリの形になってるんですね。

ちなみに、コンピュータが今とは比べ物にならないほど巨大だった昔、回路に虫が入り込んでショートさせて変な動作を引き起こした、という出来事により、いま日本語でも使う「バグ」という言葉ができた……という話は厳密にはガセ

バグは4つのビット、つまりスイッチを持っています。ONのことが1、OFFのことが0と書かれています。

このビットをすべて1か0にできれば、バグは倒れる(このゲームではそういう設定になっている)、ということです。

ここで論理回路という道具の力を借ります。この「OR」は、自分のあるビットが1なら、相手のそのビットを1にする、という性質があります。

例えばこういう問題だと、バグが「1000」でORが「0111」となっています。ここでバグに対してORを動かすと、ORのビットは2~4個目が1なので、バグの2~4個目のビットを1にします。その結果、バグは「1111」となって、倒すことができます。

なお、論理回路を動かしたときのビットの変化(論理演算)については、アニメーションが再生されることによって、目で見てどういう計算が行われているのか確認することも可能です。

これがなかなか分かりやすいですが、慣れてきたらタップすればスキップすることも可能なので、ゲームとしてのテンポを悪くしているわけではないところもいいですね。

……一応言っておきますが、本当は論理回路はバグを消すためのものではないですよ。単に、このゲームのためにそういうルールになっているだけだということをお間違いのないように。

論理回路どうしもくっつく

いくつかの論理回路がある問題では、論理回路どうしをくっつける必要があることがあります。

論理回路もビットを持っているので、バグのときと同じように計算されるわけですね。

ORだけだと、自分の1のビットを相手にコピーしていくだけということになるので、バグやORをくっつける順番はどうでもいいのですが、他の論理回路を使う問題だと、手順を間違えるとバグを倒せなくなる、いわゆる「詰み」が発生することも。

他の論理回路のひとつが、この「NOT」。NOTは相手のビットをすべて逆にするという、ORとは全く違うはたらきをします。

例えば「0100」にNOTをくっつけると「1011」になりますね。1のビットを0にしてしまうので、動かす順番を間違えると0が残ってしまって、詰んでしまうというわけです。しかし、使わないとバグを倒せないかもしれませんし、ちゃんと考えてやらないとどうなるかわかりませんよ。

他にもあと2つの論理回路が登場します。もちろん、論理回路の数が増えるほど計算も複雑になって、クリアする手順も分かりにくくなっていくので難しくなりますよ。

評価点

パズルゲームとしてしっかり練られているというのがとにかく素晴らしいところです。行けそうと思った方法でも間違っていることが後のほうで分かり、どうすればよかったのが推理するという過程も楽しめます。

一応論理回路について学校で学んだ私としても面白く思えるということは、論理回路という題材を抜きにしてもパズルゲームとして本質的に楽しめるということです。

(以下、論理回路についてある程度理解している方向け)また、3つ目の回路であるAND回路を出すタイミングが数十問やってからなのですが、このタイミングも絶妙と言えます。

なぜかというと、それまではNOTとOR(論理「和」)しかなかったため、バグを倒す方法が「1111」にするしかなかったところ、AND(論理「積」)が加わることにより、バグを倒す方法として「0000」にするという可能性も併せて考えなければならなくなり、難易度が跳ね上がるからです。

これにより、ANDが出現してからの問題をそれまでよりコンパクトにしても難しくなるため、ただ大きくするばかりで煩雑化することを防ぐことができています。これがなかなか上手かった……そこまで考慮してそうなっているのかはわかりませんが。

問題点?

問題点というほどではないのですが、「☆」の評価があまり意味がないような気がします。

☆は5つが最高で、時間がかかるほど減ってしまうというもの。いくら時間がかかっても1回でもクリアすれば、その手順を覚えて再現するだけで簡単に☆5が取れるわけです。つまり最終的には覚えゲーになってしまう、という問題があります。

また、むしろじっくり考えるほうが大事なので、急かすのはあまりよくないともいえます。まあ、それほど気にすることではないのかもしれませんが。

総評

論理回路の基本を学ぶためには非常にいい教材となり、パズルゲームとしての質も高い作品になっています。

厳密に学ぼうとすると小難しくなってしまうためか、少々現実の論理回路とこのゲームでの論理回路は役割が違いますが、ビットをどうやって操作するのかという根本的なところはもちろん覚えられるので、もしも論理回路について学ぶ機会があれば、このゲームを思い出すことによってすんなりと頭に入ってくるかもしれませんね。

そうそう、実際に回路図を書くときも、論理回路はこのキャラクターたちと同じ形で表すということも覚えておくと、親近感が湧いていいかもしれませんね。ANDはかまぼこ、NOTは三角の先端に丸、ってね。

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