ドメイン選びの際に、まず最初に決めなきゃならないのが「トップレベルドメイン(TLD)」です。
「.com」や「.jp」など古くから使われているものもありますが、最近ではその種類が増えまくっていて、例えばお名前.comではなんと550種類も取り扱ってたりします。
そんな中から選ぶとなるとなかなか骨が折れそうですが、この記事ではTLDの種類や、選ぶ際のポイントについて解説しますので参考にしてみてください。
目次
ドメインとは
まず、ドメインに関する前提知識を軽くおさらいします。
この記事をご覧の皆さんはもうご存知のうえで調べられてると思うので詳しくは書きませんが、例えばこのブログのURLでいえば、

この部分がドメインですね。自分のコンテンツに対する住所のようなはたらきをします。
ウェブ上に何か作る際に必ず自分で取得しなければいけないわけではありませんが、そうでなければ誰か(例えばブログサービスなど)が取得したドメインに間借りすることになります。
つまり、マンションの大家さんに部屋番号を割り当ててもらうようなことです。

しかし間借りしてしまうと、大家さんがドメインの運用をやめたとき、あなたのコンテンツにもし大量のアクセスがあれば、それらはすべて水の泡になってしまいます。
コンテンツそのもののデータはバックアップを取ってるかもしれませんが、検索エンジンの表示順位は全てリセットされるし、貼ってもらえていたリンクが全部切れます。死にます。

そこで、自分でドメインを管理すれば、その管理責任はすべて自分が持つことができるので、そういう心配がありません。
例えばレンタルサーバーの会社が潰れちゃっても、ドメインが他のサーバーにつながるように設定を変えてやれば、全く同じURLで同じコンテンツを置き直せます。
ですから、ウェブ上で何かを作って公開する人は必ず独自ドメインを取得するべきです。
トップレベルドメイン(TLD)とは
さて、ドメイン名の中で「トップレベルドメイン(TLD)」と呼ばれる箇所は、一番右にあるドット(.)から先の部分です。

このブログで言えばこの部分、「.com」がTLDとなります。
なぜならドメイン名は、ドット(.)を区切りとして、右に行けば行くほど上のレベルでの管理になっているから。
一番右にある部分がもちろんトップレベルになるわけですよね。
なぜドメインのレベル分けがされているの?
ドメインは階層構造になっていて、それぞれ管理している人が違うからです。
例えば「.jp」というTLDだと「株式会社日本レジストリサービス(JPRS)」が管理しています。
このような、TLDを管理する団体を「レジストリ」といいます。

しかし我々がドメインを作りたいときはレジストリに直接頼むわけではありません。
例えば「example.jp」というドメインはお名前.com、スタードメイン
、その他いろいろな会社(レジストラ)の中から好きなものを選んで発行してもらうことができます。
そうやってレジストラを利用して、私が新しく「example.jp」を発行してもらったとします。
そうすると、今度は「blog.example.jp」とか「game.example.jp」というように、さらに低レベルのドメイン名は、レジストラに無断で自分で勝手に作って使うことができます。
つまり、この場合は
という感じに、階層構造で権限が委譲されてってます。

私が「example.jp」というドメインが欲しいときも、「blog.example.jp」というドメイン名を作るときも、元締めであるJPRSに頼まなきゃいけなくなります。
そうすると1つの会社だけでとんでもない数のドメインを管理しなきゃいけなくなります。そんなことしてたらパンクしてしまいます。
だから低レベルのドメインになるたびに、他の会社や人間に管理を委譲して「あとは勝手にやってね」ってやるわけです。
トップレベルドメインごとの違い
TLDとはどんなモノかについては少し理解が深められたと思います。
さて、TLDには、いろいろなものが存在しますね。
もちろんそれぞれに何か違いがあるから色々用意しなきゃいけないわけですが、具体的に何が違うのでしょう?
用途が違う
平たく言えば、どんなサイトに使われるのかが違います。
例えば「.com」は元々「商用」を表す英単語(commercial)から取られていて、元々はその用途に使っていました。
他にも「.org」は元は非営利団体のためのもので、今でこそ取得条件はありませんが、未だに団体のホームページに使われていることがほとんどです。
また、「.co.jp」は日本に実在する企業しか取れず、その企業のホームページやサービスの提供などに使われます。
このように、取得に条件があったり、条件はなくても慣習としてどんな種類のページなのか判断させる材料になったりと、用途が違います。
価格が違う
どのレジストラでも、TLDごとに異なる価格が設定されています。
例えば「.com」の相場は年間1,500円前後でしょうか。
しかし「.rich」といういかにも高そうなドメインは、なんとお名前.comだと年間250,000円もかかります。

なんもありません。 「.com」だろうと「.rich」だろうと、どんなドメインであろうともできることに違いはありません。
じゃあなんで価格が違うのか。主に理由は2つあります。
信用度が違う
例えば「.xyz」という激安ドメインがあります。
よくお名前.comとかだと投げ売りされてて、初年度だと1円で買えたりします(2年目以降だと普通に1000円とかかかるので、ちゃんとレジストラの利益にはなります)
さて、そういう安いドメインだと、よく詐欺サイトを作るのに使われることがあります。

一方上で紹介した「.rich」だと年間25万円。詐欺サイトを作るのに、いちいちそんなドメイン取りたいと思いませんよね。「.rich」にはそういう安心感があります。
要するに、レジストラが色んな顧客層にドメインを売って利益を上げるために、価格を都合よく決めてるだけなんですけどね。
販売経緯が違う
例えば「.tv」というドメインがあります。
これは「TV」という単語になるので、動画サービスなど動画に関連したサイトによく使われます。しかしこれは元々、島国で有名な小国ツバルの国別TLDです。

ツバルは小さな国なので財政が厳しく、そんなところで「.tv」というよさげなドメインが割り当てられたので、それを海外に売って利益を得ました。
この利益によってツバルは国連加盟を果たしたそうです。面白い話ですよね。
そんな経緯があってついた値段は、お名前.comだと4000円程度です。これが高いか安いかはともかく、売りに出される経緯がTLDによっても色々と違うので価格にも違いが出ます。
登録数が違う
昔からずっと使われてきた「.com」のようなドメインは非常に登録数が多いです。
数が多いということは、それだけ自分がとりたいと思ったドメイン名がすでに取られている確率が高くなります。
逆に言えば新しいドメインであれば登録数がまだ少ないので、単純な文字列や英単語などで取得できるチャンスが高いです。
検索エンジンの振る舞いが若干違う
SEOを気にする場合少し関係してくるのですが、TLDによっては少し検索エンジンの振る舞いが変わります。
例えばGoogleでは、
- example.com/jp/
- jp.example.com
こんなアドレスよりも、
- example.jp
このように国別TLDを使ったほうが、その国の人向けに書かれているコンテンツであることが認識されやすいということです。
しかし、これはアメリカとイギリスなど、使用言語に微妙な違いがある場合にも判別がしやすくなるみたいな話だと思うんです。
日本語で書かれたコンテンツは基本的に日本人向けだってことを、Googleが分からないはずがないですよね。
つまり、日本語でコンテンツを作ろうと思ってる以上は、ここの話はあまり関係ありません。

今後日本語以外のコンテンツに挑戦してみたくなったときとかには、思い出してみてください。
機能は変わらない
さっき少し触れましたが、TLDによって機能の違いというのは基本的にありません。
例えば、このTLDではメールの送受信ができるのにあっちのはできない!なんてことはありません。ですのでこの点では心配しなくていいです。
ドメインの選び方
さて、TLDにはそれぞれどういう違いがあるのかというのが分かったと思います。
それを踏まえて、TLDの選び方をざっくり紹介していきます。
用途で選ぶ
まず一番最初にするべきなのが、ドメインをどんなコンテンツのために使うかを整理することです。どういうサイトやブログを作るために、ドメインを取得しようとしていますか?
企業のサイトを作る
まず日本企業のサイトであれば圧倒的に「.co.jp」がおすすめです。
ちゃんと登記されてる、もしくは登記予定がある企業かどうか確認してからしか取得できませんし、しかも1社に1つのドメインしか割り当てられませんので、信頼度は他のドメインを圧倒しています。
非営利団体のサイトを作る
例えば慈善活動のホームページを作って紹介したいというとき。「.org」が圧倒的におすすめです。
上で今では取得条件はないと書きましたが、慣習というのは根強いもので、未だに「.org」を使っていて団体じゃないところというのはそんなにないです。
これを使っていれば何かの団体のページなんだな、ってすぐわかってもらえます。おすすめです。
個人のサイトを作る
普通の個人のサイトやブログであれば、「.com」「.net」あたりを選ぶのが無難ですが堅実な選択肢です。
非常によく見るTLDなので、ネットに詳しくない人にもすぐ認知してもらえます。
お役立ち情報を書くブログや、ゲームの攻略サイトなどだと「.info」もよく見ますね。
無難で面白くないのはイヤ!と思った方は次へ。
話題に特化したサイト
特定の話題に特化したサイトを作るなら、特定のジャンルを意識した英単語をそのままTLDにしたものがたくさんあるので、そこから選んでみるのもいいでしょう。
お名前.comだと取扱っているドメインの種類がめちゃくちゃ多いので、まずそこを見て面白いTLDがないか考えてみるものいいです。
私がざっと見た中で面白そうなものを紹介します。
- 「.flowers」「.fashion」「.recipes」なんかは花、ファッション、レシピに関連したサイトを作るのに適していて、女性向けっぽい雰囲気。
- 「.money」「.trade」あたりはお金や株取引などのノウハウを紹介する稼ぎたい人向けのサイトにいいかもしれません。
- 「.club」「.social」とかだと、人が集まる場所っぽい感じがするのでWebサービスなどを作るのに適しているかも。
他にも、例えば「.dentist」(歯科医)なんていう変わり種も。
使う人がかなり限られると思うのですが、とにかく豊富にあるんです。
価格で選ぶ
用途で考えると、いくつか候補が絞り込めたでしょうか。
次に価格で比較することを考えてみます。
といってもほとんどのドメインは年間数百円~数千円の範囲内なので、ビジネス目的であればどれを選んでも価格的に大差ないといえます。
商用利用しないときには、少し高いドメインは候補から外れるかもしれません。例えば「.jp」は「.com」と比較して2.5倍くらいの値段になります。お財布と相談してください。
あと、レジストラによってもドメインの価格は異なります。
期間限定のキャンペーン価格などをそれぞれやってる場合もあるので、いろいろと比較してみてください。
取りたいドメインが取れるものを選ぶ
ドメイン文字列はできるだけシンプルに、わかりやすい単語(の組み合わせ)で表現したいところです。
上に列挙したレジストラだと、複数のTLDで同じドメイン文字列を検索して、このTLDなら登録可能だよ!って教えてくれます。
その中で価格が安く、用途にも見合うTLDが見つかれば、それに決めるのもよいですね。
やめといたほうがいいドメイン
逆に選ばないほうがいいものを紹介します。
日本語ドメインはやめといたほうがいい
「日本語.jp」などTLDによっては日本語で取れるものもありますし、TLD自体にも「.コム」があったりしますが、全部やめといたほうがいいです。
SNSなどで、貼ったURLに日本語が含まれてるとリンクにしてくれないことがあるからです。とても困ります。
あと単純にURLを打つときにも、「.」は日本語入力だとできないので、いちいちモードを変えながら打たなきゃいけません。めんどいです。
日本語ドメインはSEOに効果あり?そのメリットと導入時の注意点 :: 株式会社イノーバ
デメリットばかりではないので、詳しく解説されている記事を一応貼っておきます。
日本語ドメインは、実は従来の英数字のドメインと併用してうまく使い分けられるサイト運営上級者向けだと思います。日本語だから初心者向けっぽく見えますが、すごい罠です。
長いTLDはあまりおすすめしない
例えば「.photography」(写真)など、非常に長いTLDも出てきていますが、長いのはあんまりおすすめできないです。
日本人は英語が苦手なことが多いので、覚えてもらいにくくなります。「.com」とか有名どころなら覚えやすいですが、「ふぉとぐらふぃー」なんてTLDがあること自体知らない人も多いです。
自分のドメインを書きたいときに、スペースを食って邪魔かもしれません。
しかも、TLDの文字列そのものはSEO的に何の意味もないそうです。「photography」という検索キーワードに対して「.photography」のページが強くなることはありません。
写真関係なら「.photo」とかもあるので、こっちのほうがまだいいです。
あとはご自分の感性で!
まだ決めかねている方へ。
これを言ったら本末転倒ですが、最終的に自分が直感で好きだと思うドメインを選んでみてください。
自分が取りたいドメイン文字列とTLDを組み合わせて眺めてみたり、読み上げてみたりして、いい感じのものを選んでみましょう。
ドメインとは長い付き合いになりますし、そのドメインに良いコンテンツをたくさん置いていけばそのドメインの資産価値は上がります。一生モノです。
ですからまずは自分が好きなTLDを選んで、それを大切にしましょう。
この記事がそのお手伝いをできたのであれば嬉しく思います。
それでは!